2017年7月30日日曜日

優秀な人は早く辞めがち。

語弊がありますね。
もちろん辞めなくて優秀な人はたくさんいらっしゃいますよ。
いや辞めずにどんな職場でも自分の実力を発揮できる人こそ優秀です。

ある先輩がこんなことを言いました。
「新人は辞める権利すらない」
これも語弊がありますが、言い得て妙でもあります。
会社に就職するということはもう周囲を巻き込んでいます。
もう自分勝手にはいかない身の上です。
会社は新人を教育します。お金をかけて、給料も払いながら。
使いモノにならない新人さんは初めは会社にいろんなものを借りている状態です。
とりあえず借りたものは返さなければなりません。

当たり前の話はここまでとして。

優秀な人が辞めちゃって惜しいという話。
皆さん初めは真面目に情熱を持って仕事に臨みます。
それはもう真面目に消耗していきます。
さらに見込みがある人は周囲も期待しますので、自ずと他の人より仕事が多くなり、疲労困憊の日々が続きます。
その代償としての給料もなかなか反映しません。
会社は自分を過小評価していると段々考えていきます。

そして…辞めちゃいます。

実は会社が社員を評価するのは社外の人からの声が一番効きます。
海外で賞を獲ったりすると一気に箔がつくみたいな。
日本人っぽいと言いましょうか、外からの評価に弱いんです。

奢らず腐らずに、仕事の辛いことばかりに目を向けず面白いことや楽しいところを見つけて補充したらいいなと思います。
消耗するけど補充もする、どっちも仕事の中で成り立てば、嫌で辞めるなんて結果にならず、仕事を楽しめますよ。

あとそうそう、
楽しそうに仕事する人にはとても好感が持てます。

2017年6月22日木曜日

チーム。

お互いを信頼せず、各々の役割を全うせず、コーチの助言も聞かないチームは負けます。
何の話でしょう。

青臭い話です。

広告は水物です。
時代によって、その年によって、その日によっても消費者の反応は変わります。
流れを読む、流れを創りだせるプロに任せるのが良いのでしょうね。たぶん。

即効性のある広告、ジワジワと浸透する広告、一旦拒絶後、徐々に効果を発揮する広告、いろいろな戦略があるので一概には言えませんが、オンエア後、イマイチの結果で戦略的にも変えた方が良いと判断したならば、
その時こそは企画を練り直したり、スタッフを見直したり、総取っ替えしたりすればいいと思います。

プロフェッショナルは結果によってシビアに判断されるべきです。
しかしまずは、
コーチを信じて、一致団結、各々の役割を全うし、思いっきりやってみる。

やりきっているCMはやはり面白く、効果もあると思います。

同じ目標に向かってチーム一丸となって邁進しよう!
そんな古臭いスローガンをもう一度思い出した方が良いかもしれません。

CMは団体競技かも

2017年6月15日木曜日

TVCMの仕事。“照明技師・照明部”

現場での照明部は基本的に照明技師、照明チーフ、照明助手(10名ほど)で構成されます。

照明技師は
演出コンテを元にカメラマンや美術スタッフ、時には仕上げのエディター等と連携して、照明規模などを算出し、照明機材の選択、助手の人数、照明プランを組み立てる技師です。映像を作り込むというより光と影で世界観を作るといった方が近い感じでしょうか。
予算によってはクロマキーのバックなども合わせて準備することもあります。
合成っぽい。“光の不一致”」でも書きましたが、別撮り(主にロケ)で撮影した素材の再現には経験とセンスが問われる重要なスタッフです。

照明チーフは
技師の意向に合わせて10名(規模によってはそれ以上)の助手を統括し、電源の取り回し、フィルターや各種照明の配置を指示します。撮影によってはかなり大掛かりになり、危険な作業を伴うため、効率よく安全に照明助手の作業段取りを組み立てる能力が必要です。

照明助手は
照明チーフの指示通りにスタジオ内のあらゆる足場(例えば、二重=天井下に張られた照明用の足場)に照明機材を設置したり、ライトの調整を行います。
照明機材はかなり重く熱く、しかも電源も取り扱うため大変危険を伴います。ライトを点けると二重などの足場は40度を軽く超える温度になります。TVCMの仕事の中でもっともガテン系の屈強なスタッフ達です。現場では誰よりも早くセッティングを始め、誰よりも遅くまで撤収にかかる、本当に大変な仕事です。

?な名前の機材たち
照明機材にはちょっと?な名前の機材があります。
代表的なものをいくつか。

イントレ
カメラや照明など高い位置からのアプローチが必要な時に組む足場。
映画「イントレランス」が語源ですが、
・俯瞰の代名詞的映画だから。
・初めてこのような足場が組まれた映画だから。
・”イントレランス”の和訳が”不寛容”=俯瞰用から。
諸説あります。

センチュリー(スタンド)
照明機材用の三脚スタンド。
不整地スタンドとも呼ばれ、平地ではなくても垂直に立てられ、
接続部の形状により斜め等自由に組めるのが重宝されるスタンド。
Matthews Studio Equipment, Inc.の登録商標が現場で一般に使われるようになりました。ホッチキスやセロテープ的な。

カポック
発泡スチロール製のレフ板。
語源は謎です。軽い発泡スチロール=軽い綿のような繊維=パンヤ=カポックという感じでしょうか。
白や黒いモノもあり、軽く、簡単にカッターで切れるため、様々な用途に使える。
徹夜撮影の時は床に敷いて寝たこともあります(笑)

2017年6月9日金曜日

TVCMの仕事。“カメラマン・撮影部”

現場での撮影部は基本的にムービーカメラマン(撮影技師)、撮影チーフ、セカンド(+サード)の3〜4人体制で構成されます。

ムービーカメラマン(撮影技師)は
演出コンテを元にカメラ機材(レンズ他含む)の選択から照明、美術スタッフや、時にはCG部、仕上げのエディターなどと連携して映像に関わるあらゆる設定を指示し撮影をします。演出意図にあった画づくりの提案などを行うカメラマンもいます。
撮影後はカラーグレーディング(カラリストと共に映像のトーンや色調整)し、CMディレクターが望む映像を具現化します。

撮影チーフは
露出の計測、照明部との調整やカメラマンの意向に沿ったセッティングをする、最もカメラマンに近いアシスタントです。

セカンド(+サード)は
機材運搬から各機材のチェック、被写体までの距離の計測、フォーカス合わせ(ピントマン)、カメラ周りの雑用もします。


そういえば最近はあまり聞きませんが、スチールカメラマンがを”カメラマン”、ムービーカメラマンの事を”キャメラマン”と区別して呼称していましたね。

・・・

撮影もここ20年ほどで、
フィルム撮影時代から、ビデオテープ収録、さらにデータ収録へと変わってきました。

それに伴って、ラボ(現像所)のタイミング(フィルムのトーン、色を調整するスタッフ)も、カラリストとVE(ビデオ・エンジニア)に取って代わり、VEも今やDIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)と呼ばれるスタッフへと変遷してきました。

スクリーンに映写するかテレビに映すしかなかった時代から、映像のカタチもフォーマットも多岐にわたり複雑化しています。
数々の用途に応じたカメラ機材と適したフォーマットの特徴、収録する技術、ノウハウが撮影部にも求められてきています。

カメラの高さ調整時に見る撮影部の一体感がなんか好きです。


2017年6月5日月曜日

TVCMの仕事。“CMディレクター”

CMディレクター(=監督)
TVCM実制作に於ける演出担当者。

企画をもとにTVCMを最も効果的に具現化する仕事です。
現代の風潮を読み、世の中受けする感覚を知っていなければ務まりません。

映像制作プロダクション所属の社内ディレクターやフリーランスのCMディレクターが主流ですが、映画監督やアニメ監督、ミュージックビデオの監督など様々な業種から抜擢される場合もあります。
しかし30秒、15秒というサイズに収めるには、職人技とも言える独特のセンスが必要であり、専門に演出しているCMディレクターの方が完成度に分があるケースが多いようです。

映画やアート系の映像作品と違い、広告の場合はあくまで商品や企業イメージを売る事が目的のため、演出に於ける思考の出発点はクライアント側にあります。

好感であれ共感であれ、一人でも多く視聴者を消費者に仕向ける計算と、巧みな演出ができるのが優秀なCMディレクターと言えます。

”ザ監督”

2017年6月2日金曜日

TVCMの仕事。“制作進行”

制作進行(=通称、制作=PM=プロダクションマネージャー)

その名の通り、CM制作を進行させる人。

プロデューサーの補佐をし、実行予算作成管理からスタッフの弁当手配まで制作全般のありとあらゆることを段取り仕切る仕事です。

CM制作部に配属された新人はまずこの仕事に就きます。
先輩の制作に付き、CM制作の”いろは”を学んでいきます。初めは雑用ばかりですが、実はこの雑用ぐらい”軽く”こなせないと優秀な制作にはなれません。”これ誰がやるの?”的なものもすべて制作の仕事なのです。

優秀な制作にはすべての情報が集まります。情報の把握とその交通整理、予算を管理し、軽く雑用もこなす。

まさにCM制作の要が制作進行なのです。

逆にその案件について、知らない事、もしくは知らされていない事がある制作さんは、まだまだ一人前ではないのかもしれません。

2017年5月27日土曜日

TVCMの仕事。“プロデューサー”

予算管理から作品のクオリティ管理まで、制作部の責任者。

基本的には映像制作プロダクションに所属し、実制作スタッフを統括する存在です。

TV業界や映画業界とは違い、TVCMのプロデューサーの仕事はクライアント、広告代理店と制作スタッフとを結ぶ営業的な側面もあります。

広告代理店から案件を受注し、制作(制作進行=PM=プロダクションマネージャー)が実行予算を算出、それをもとに見積を作成し提出、そして制作スタッフを提案、選定します。
広告代理店の営業やクリエイティブの意向を正確に理解し、CMディレクター以下制作スタッフのプランを、予算と作品クオリティのベストバランスを見極め、調整するスキルが求められます。

TVCMの仕事。“CMプランナー”

TVCMの企画を考える人。

広告代理店や、映像制作プロダクション、フリーランス、様々なCMプランナーがいます。

企画案は事前に絞り込まれてから数案プレゼンテーションにかけられます。

CMプランナーが自分の企画を通すためにはまずプレゼンされる候補に挙がらなければならず、さらにクライアントに選ばれなければなりません。
良い企画を提案するために裏で数多くの企画がボツになっているのです。


CMプランナーが手がける”企画”とはどういうものなのでしょうか。


TVCMにおける企画とは、方向性を決める指針です。

多くはアイデアやストーリーの雛形をクライアントにわかりやすく理解してもうために絵コンテ(企画コンテという)やビデオコンテ(絵や参考映像や仮撮影したものを簡易的にCMの形に編集したもの)の形式でプレゼンします。
しかしここではカット割りやアングルなどはまだあまり重要ではありません。
この時点ではCMディレクターもまだ決まっていないことも多く、イメージをガチガチに固めてしまわないように注意する必要があります。
あくまで”方向性”である事、柔軟性を保ったままCMディレクターに企画を渡さなければ、良い演出コンテに昇華できず良いCMを作る事はできません。


CMプランナーには、
広告としての訴求点を、伝わるであろう像に、数多く変換し提案するスキルが求められるのです。
レストランに例えるなら、CMディレクターは料理人でCMプランナーは”今日のおすすめメニュー”を考える人といったところでしょうか。

2017年5月25日木曜日

TVCM制作の流れ。

ざっくりではありますが、
TVCM制作の全体の流れの一例を。

クライアント(広告主)が広告代理店の営業にTVCMの制作を依頼します。

営業は大まかな依頼内容を受けCD(クリエイティブディレクター)を立てます。クライアントからのオリエンテーション(広告したい事案の企業側からの説明)を受け、企画の方向性を決めます。

ここから、CD主体で企画を決めていきます。

マーケティング(市場調査)等も参考にしつつ、CDCMプランナーを選び数案企画案を出させ、取捨選択や修正をし企画を詰めていきます。

企画の骨組みを決め、にコンプライアンス等様々な問題がないかを検証しつつコピーライティング(キーとなる広告用の文言)やアートディレクション(キーとなるデザインや映像表現)などを決めていきます。

映像制作プロダクションを選定し、プロデューサーを軸にCMディレクター(=演出=監督)の候補や企画ごとの予算を算出します。

幾つかの企画案(企画コンテや、ビデオコンテ)と(PPM資料=プリプロダクション資料=事前制作資料)をクライアントにプレゼンテーション(依頼に対する広告戦略の提案)をします。
ここで企画が通らない場合、修正案や、双六よろしく振り出しに戻ります。

企画が決まったら、CMディレクターに演出コンテ(企画コンテを基にした、より具体的なコンテ)を発注します。

ここからはCMディレクター主体で完成まで制作は進行していきます。
CD営業やクリエイティブのスタッフと共に全体的に企画の方向性から外れていないか、クオリティは保たれているか適宜チェックします。プロデューサーPM(プロダクションマネージャー)は実行予算管理、クオリティ管理、制作を進行するためのあらゆる準備や段取りを執り行います。


CMディレクター主体で撮影スタッフから編集MAスタッフまでのスタッフィングをします。オールスタッフ打ち合わせや場合によっては、音楽打ち合わせ、オーディションや衣装打ち合わせ、美術打ち合わせ、合成やCGなど技術的打ち合わせ、ロケハン(ロケーションハンティング=撮影地の選定)など数々の段取りを経て香盤表(撮影順序や段取りをまとめた表)を作成、撮影に挑みます。

香盤表に沿って撮影を進めます。
撮影にはクライアントも立ち会います。クライアントに撮影の説明をしながら商品撮影や広告内容に関する重要なカットをチェックします。

撮影素材のカラーグレーディング(色調整)を行います。
最近は予算削減のためオフライン編集後に使用テイクのみ行うこともありますが、
色調などは編集の印象を左右するため、望ましいのはオフライン前に全テイク行う事です。

オフライン編集(仮編集)します。容量の軽いオフライン用の圧縮のかかった全素材を比較的安価なシステムで取り込み、仮組みを行い試行錯誤を繰り返しながら編集組みを決めます。仮の音楽やナレーションでクライアントにオフライン試写を行います。

基本となる編集組みが決まったら、それを基に音楽録音、オンライン編集室ではカラーグレーディング済みの高解像度のOKテイクで再度編集組みを行い、エフェクトや各カットのブラッシュアップや微調整、テロップ入れを行い、MA室で音楽や同録素材、SEなどの各トラックのミキシングを仕込んでいきます。

試写前に文字要素の最終考査で新たなテロップ追加や場合によってはハーディングテストを行ないます。MA室ではラウドネス(CMの音量規定の基準値)の調整も行います。

クライアント、営業CDを筆頭にクリエイティブが揃い最終の初号(フィルム時代の用語、最終ネガからの最初のプリントを指す、その後オンエアするために複数プリントにかけるためこのような言い方をする)試写を行い、問題がなければ完パケ(=完成パッケージ=完成原版)を作成します。

オンエア計画に従って完パケからプリント(=ダビング=コピー、これもフィルム時代の名残)し各放送局に納品、局のチェックを受け、晴れてオンエアとなります。

実際はこの流れからさらに枝分かれして書ききれないほどの仕事やスタッフが存在します。
CM1本作るのに60名や70名はざらです。



2017年5月24日水曜日

TVCMの仕事。“CD”

CD(クリエイティブディレクター)


クリエイティブ(広告表現)全てを統括する責任者。

クライアントからの意向を正確に踏まえて効果的な広告表現を模索し提案し具現化するまでの全てのクオリティを管理し責任を負います。

CMディレクターとは違い、広告表現の全体像をディレクションします。受注、企画提案、制作、完成まで営業と共に全てに携わります。

コピーライターやアートディレクター等、クリエイティブの経験を積みこのポジションに就く場合が多いですね。多くの部署やスタッフを取りまとめる棟梁的存在です。

TVCMの仕事。“営業”

営業(アカウントエグゼクティブ)


クライアント(広告主)の窓口となり広告事案に関する様々な要望を受け予算を管理し、マーケティング、クリエイティブなど各部署と企画を練り、どのように広告戦略を展開していくのか提案します。

クライアントとの信頼関係と実力によっては全てを取り仕切るキーマンとなります。

ほぼ、この部署からの情報で以下全てのスタッフが動くためクライアントの意向を正確にそして的確に把握している必要があります。

CM制作がスムーズに進行し最高の結果をもたらすか否かのまさにキーマンと言えるでしょう。

おそらく広告業界唯一常にスーツを身にまとうポジションかもしれません。
業界の社会的信用度を保つの最後の砦かも。