2017年5月4日木曜日

合成っぽい。“光の不一致”

光が合わないとき。

どんな合成でも自然に見せるには、光を合わせることが最も重要です。
ヒトの視覚は、その特性上、明るさの違和感に敏感だからです。

例えば、
背景がロケ(=ロケーション=野外)撮影したものに対して、人物をスタジオ内で撮影しクロマキー合成する場合。

この場合、天候は左右できませんし、ロケ時は様々な制約があるのでロケ分を先行撮影し、それを基準にスタジオでじっくり合わせるのがセオリーです。

ロケ撮影が終了し、今度はスタジオで天候を再現します。
そんな時、よく照明さんに言われませんか?「天井が高いスタジオにしてね」って。
この例の場合、ロケ撮影時は基本的に太陽光で撮ります。
それと光を合わせるには?…スタジオに太陽が必要になります。

昔学校で習ったような気がしませんか?太陽光は限りなく平行線の光だって。
太陽はほとんど無限遠の光源です。光は光源から遠ければ遠いほど平行に近くなります。
太陽光はそこにいる誰にでも均等に当たる光なのです。

しかしスタジオで使うスポット光には芯があり芯の中心から離れるほど光量が落ちます。
太陽に近づけるためにはどうしたらいいでしょう?

光源が低いと光の芯の範囲が狭く明るく、高いと広く暗くなります。
スマホのライトなどで手のひらを照らしてみてください。ライトを近づけると光の芯部分は明るくなりますがその周りとの差は大きくなり、離すと全体的に暗くなりますが差が少なく全体を均等に照らされるようになりませんか?
日中、外で同じように手のひらを日に当ててみると、手を大きく動かしてもほとんど変わりません、地球規模で移動しない限り。

理科の授業みたいになってしまいましたが、スタジオで太陽光になるべく近づけるためには高い(遠い)位置から、光量の多いライト(HMIなど)が必要なのです。
もちろんそれはキーライト(メーンのライト、ここでは太陽の直射の代わり)であり、他にも反射光や環境光などを再現する様々なライトや機材が必要になります。